経過報告

コロッセオ(Colosseo), ローマ

こちらが口元を覆わないで診察するようにしてから2カ月の経過報告です。

診察を拒否した人や、面前あるいは電話で抗議してきた人は、今のところいません。その次から受診しなくなった人は恐らくいるだろうとは思いますが、全体としてクリニックに受診する患者さんの数は減っていません。

子どもがこちらをじっと見てくれることが明らかに増えました。「目」「言葉」だけでなくそこに「表情」が加わることで、人間らしい「感情」を伴うコミュニケーションが可能になるのだと思います。特に「言葉」の前の段階にある子どもにとって「表情」は大きな意味があって、乳児健診の赤ちゃんたちの反応が全く違うと感じています。

私自身が体調を崩すことも増えていません。以前は多くの小児科医がこのスタイルであった訳ですし、インフルエンザなど一部を除いて子どもの風邪を親御さんはもらわないことがほとんどなことからもわかるように大人は既に免疫を持っているからではないでしょうか。

生後6カ月未満の子どもとそれより大きい子どもとでは、今のところ対応を変えています。生後6カ月未満では免疫がまだ未熟で予防接種も未完了であるため発熱する機会は極力少ないほうがいいと考えますし、一方でまだそこまで表情を読み取れる訳ではないので、口元を覆うことのデメリットがメリットを上回ってはいないかもしれないと考えているためです。インフルエンザ流行期に入ったときにどうするかはまだ決めていません。

この決断をする前、そして実際にスタイルを変えて診察するようになって初めのうちはそれなりに悩み、心身の辛さを感じましたが、慣れてくると次第にむしろ元気になってきたように思います。表情を「隠さない」ということは「隠せない」ということでもありますが、それは自然な姿で、知らず知らずに繋がれていた鎖から解き放たれ自由になったからかもしれません。

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