力のある言葉
2026年10月26日

ある著名な作家が亡くなりました。マスメディアの追悼記事には評論家や教授先生のコメントが並びますが、Xには市井の人々による「この言葉で私は励まされた、救われた」という投稿が溢れました。そのような、人の心を動かす力のある言葉を多く残したということは、ノーベル賞を取ることやその候補となることよりも素晴らしいことだと私は思います。
私の専門外来では、予約日の1週間前までに問診票を届けてもらっています。前回の受診からこれまで、子どもへの対応をどのように工夫なさったか、家庭と学校で上手くいくようになったところはどこか、上手くいっていなかったり対応に困っているところはどこか、医師に質問したいことはなにか、書いていただいて、窓口に持参いただくかメールで送信していただきます。1週間前までに届いたときには必ず、もし少し遅れて届いた場合にもできるだけ、私のコメントを書面であらかじめ準備し、外来当日に説明し、印刷してお渡しするようにしています。
「この言葉で私は励まされた、救われた」というような立派なことや目の覚めるようなことは書けませんが、自分の考えを自分の言葉で書くようにしています。問診票に最近の厳しい状況が書かれていることがあったり、答えの見つからない難しい質問を受けることがあったりもして、真剣に苦しみ、心を擦り減らすようなときもあり、子育ての悩みを一身に引き受けることに限度はあると感じます。それでも、自分にできることはこれくらいですから、少しでも現在と未来への希望となるよう、子どもと家族へのラブレターのつもりで、できるだけ力のある言葉を記したいと思います。
