光る宇宙

ナヴォーナ広場(Piazza Navona), ローマ

40年以上前に初めてテレビ放映され、その後も幾度となく地上波で再放送されてきた「機動戦士ガンダム」がYouTubeで定期的に無料配信されています。私の年代ではしばしばそうであるように、私も劇場版を含めると恐らく数十回視ていると思います。セリフを覚えている場面も多いはずなのですが、いまだに新鮮な驚きがあります。今週はついに最大の山場である第41話「光る宇宙」が配信されました。

社会への目が少しずつ開かれていく年齢である小学校高学年の頃、当時の担任の先生にも影響され、「社会を変えることで人間も変わる(幸福になる)」と信じていました。中学生になって自分というものに深く向き合うなかで「人間が変わることでしか社会は変わらないのではないか」と思い悩みました。そんなときにこのアニメを再放送で視て、「ニュータイプ」というテーマに心動かされました。人間が宇宙で暮らす時代になったとき「人の革新(ニュータイプの出現)」が起こって、人間同士がより良く理解し合えるようになるというものです。今回配信された「光る宇宙」の回では敵味方に分かれたニュータイプ同士の心の交感が、悲劇的な結末にはなりますが、稀に見る緊張感と美しさで描かれています。

「人は変わっていくのね、私たちと同じように」「そ、そうだよ、ララァの言う通りだ」「アムロは本当に信じて?」「し、信じるさ、君ともこうして分かり合えたんだから。人はいつか時間さえ、支配することができるさ」「あぁ、アムロ、時が見える」

夢見る頃を過ぎ、更に年齢を重ね、自分や社会に存在する困難や矛盾を一気に解決する逆転手段としての「革新」はあり得ず、少なくともすぐには変わらない現実社会の中でそれぞれ懸命に生きていく、人が変わると言っても大袈裟なものではなく少しの変化と後戻りを繰り返していく、そういうものなのだと理解するようになりました。けれど「今あることがこれからもずっと変わらない訳ではないかもしれない」という感覚はこれからも自分の中にあり続けるだろうと思います。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です