体勢を低くする

パドヴァ(Padova), ヴェネト州

独りで椅子に座った幼児や小学校低学年の子どもを診察するとき、私は自分の座った椅子から降りて床に膝をつき、こちらの体勢を低くして診察します。そうすると幾つか良いことがあります。

子どもの座る椅子の高さを低くすることができます。子どもが気になるものに手を伸ばそうとして椅子から滑り落ちてしまうようなことがあっても危険がありません。親御さんの膝の上でなく独りで椅子に座って診察を受けるようになった子どもは(私には)いくらか誇らしげに見えます。

子どもと目が合いやすくなります。子どもの視界は子ども自身の目の高さよりも下方に拡がると言われていて、こちらが子どもの視界に入ることで、「いま私があなたの診察をしていますよ」ということが伝わりやすくなります。

私自身の調子も良いように感じます。椅子から降りたり座ったりすることで身体を動かす機会となり、ずっと同じ姿勢でいるよりも肩や腰が凝りにくくなりますし、頭だけでなく身体全体を使うことで思考や判断にも良い影響があるのではないかと思います。

難点を言えば、しばしば子どもに蹴られる、もろに飛沫を浴びる、ということがあります。そうなりそうなときはあらかじめ斜め方向から診察するなどしていますが、それでもときどきそういうことがあったときは「自分が選んだのはそういう職業なのだ」と思うようにしています。

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