白衣

デ・フェッラーリ広場(Piazza De Ferrari), ジェノヴァ

海外の医療ドラマ、特に救命救急や外科系の医療ドラマが放送されたあたりから、それ以前は「手術着(オペ着)」として救命救急室や手術室だけで着られていたスクラブ(ケーシー)を普通の診療場面でも着る人が増えました。血液などが付着しやすい現場の人はこの方がいいですし、動きやすく、どんどん洗濯するので清潔でもあります。夜間の当直をしているときなどは仮眠を取っていた状態からすぐ診療に向かえるという利点もあります。昨今の日本の医療ドラマでも若手医師がスクラブを着て颯爽と仕事をしているように描かれているらしいです(私は視ませんが)。

皆がすることを私はしたくない、あるいは、皆がするのだから私がする必要は無い、と考える性分なので、当直や当直明けでときどき着た以外はスクラブを着てきませんでした。「手を動かす」>>「話を聞く・話をする」タイプの医師がスクラブを着るもので、「話を聞く・話をする」>>「手を動かす」タイプの医師は白衣を着るものだ(自分の領域はこちらだ)、と思い込んできたのも理由としてあります。

そして、ついに白衣を着るのもやめることにしました。つい先日からのことです。そもそも小児科の診療所で働いていて血液が服に付着することなどありませんし、子どもや家族と少しでも同じ視線の高さでありたい(「健康についてアドバイスしてくれる近所のおじさん」くらいの位置付けでいたい)と思ったとき、白衣ではなく私服のほうがそうなりやすいような気がしたためです。先日、普段の診察ではあまり喋らないタイプの子どもが帰り際に「ベルトかっこいいですね」と言ってくれて、やっぱりこうしてみて良かった、と感じています。

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