挨拶
2024年5月6日
外来で診察の終わりに親御さんが子どもに「ありがとうございました」と言うように促すことがしばしばあります。実際に思っていないことや何故その必要があるのかわからないことを言うように促される機会はできるだけ少ないほうがいいと私は考えます。「ありがとうございました」は親御さんが(診察がそれに値するものであったのなら)言えばいいことで、子どもは「さようなら(バイバイ)」が言えれば十分でしょう。
小学校で授業の始まりと終わりに子どもたちに一斉に「よろしくお願いします」「ありがとうございました」と言わせていることにもびっくりしました。子どもたちが自然にそういう気持ちになるような授業になっていれば必要のないことだと思います。
子どもたちにそのように言わせる一方で、大人はますます挨拶をしなくなっています。街中でも電車でもそれぞれスマホを見ていて目を合わしませんし、普通に考えればとても失礼なはずのマスクをしたままの挨拶や会話を当然のようにしています(挨拶の重要な機能に「私は敵ではありませんよ」と示すことがあるのですから、顔の一部を隠してはダメなのです)。普段から大人がきちんと挨拶をしてさえいれば、子どもも(その子どもにとって来るべきときに)いつか必ずちゃんと挨拶をするようになります。ただし、感情の伴わない、形だけの挨拶を強制され続け、心底それが嫌になっていなければ、という条件つきですが。