年の暮れに嬉しかったこと

トレヴィの泉(Fontana di Trevi), ローマ

市の3歳児健診に小児科医の当番として参加することがあります。家族が記載する問診票に「1日あたりのテレビ(スマホや動画含む)の視聴時間」を記載する欄があり、これまでは「2」とか「4」とかは普通で、ときどき「6」とか目も眩むような数字を目にすることもありました。ところが最近の健診で(たまたまかもしれませんが)2/3くらいの子どもが「1」以下で、中にはこれまでお目にかかったことのなかった「0」すらありました。「とてもいい生活習慣ですね。是非続けてください」と話しました。子どものメディア視聴への注意喚起は私のクリニックだけでは限界がありますから、市が集団健診として実施する3-4か月健診や1歳半健診でも啓発してもらえるように、1-2年前に市の乳幼児健診担当の方にお願いをしました。その成果が出てきているのかもしれません。

もちろん3歳時点では、テレビの視聴時間が少ないことだけが大切な訳ではありません。それまでの育ちの中で子どもからの発信(要求)が親によってきちんと受け止められてきたことで親はじめ周囲の人間や社会への基本的信頼感が育まれ、親からよく遊んでもらってきたことでテレビ以外のことにも存分に楽しみを見出すことができるようになってさえいれば、3歳時点でのテレビ視聴時間の多寡は大きな問題ではありません(*)。ですが、テレビの視聴時間が増えるときにどうしても「子どもからの発信(要求)を親が受け止める」「親からよく遊んでもらう」ことは少なくなりがちですから、やはり子ども集団全体のテレビ視聴時間が短くなっていくことは意味のあることだと思います。

(*2)ただし、動画の視聴を習慣にすることだけはお勧めしません。子ども時代の豊かさを損なうことになると本当に危惧します。

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