インフルエンザ予防接種を終えて

ジェノヴァ旧市街

昨年12月末に今シーズンのインフルエンザ予防接種を終えての感想です。

今シーズンから経鼻生ワクチン「フルミスト」が開始されました。点鼻で接種したときに鼻から吹き出してしまう子どもがいるのではないか?接種後に発熱や頭痛を起こす子どもが多いのではないか?などの心配も少ししていましたが、少なくとも私のクリニックでは大きな問題はありませんでした。結局は怖がってしまう子どもが多いのではないか?とも思っていましたが、ほとんどの子どもが「あれ?もう終わったの?」という感じでニコニコしながら帰っていきましたから、子どもの苦痛は段違いに少ない印象を持ちました。効果や副作用など今シーズンの全国的なデータを確認する必要はありますが、気管支喘息があるなどの事情が無い限り、すべての子どもがフルミストでもいいのではないかとすら思います。気管支喘息についても「直近の状態が落ち着いていれば接種可」というようになっていかないかと期待しています。

旧来からの注射の予防接種は、どうしても激しく怖がってしまう子どもが今年も何人かいました。特に2回目の接種は大変で、4-6歳くらいが特にそうなりやすいようです。私自身とても辛く、「もうこういったことをしたくない」という気持ちを強く持ちました。そこで、以前から存在を聞いてはいたのですが、予防接種をする部位に事前に貼付して痛みを緩和する「エムラ」というテープの使用をこの1月から開始することにしました。痛みがゼロになる訳ではありませんが低減されますし、「貼っておくと痛くないよ」という安心感が良い方向に働くという側面もあると思います。まずはインフルエンザ以外の一般の予防接種で使用してみて、効果があるようなら、来シーズンのインフルエンザ予防接種でも使っていきたいと思っています。

今シーズンはインフルエンザの流行が大きく、子どもにインフルエンザ脳症が発生していることを伝えるニュースが流れてきます。「専門家」が予防接種を呼び掛けていますが、彼ら自身がついこの間まで連呼していた「思いやりワクチン」という話は全く出てきません。高齢者を中心にごく一部しか重症化しない感染症の蔓延を少なくするという名目で(そして、少なくできるという名目で)、ほぼ重症化しない年齢層にまで(稀とはいえ)副作用の強い予防接種を「思いやりワクチン」と称して推奨という名の強制をしたのであれば、毎年少なくない数の子どもが必ず発症し、その一部は極めて重症となってしまうインフルエンザ脳症を減らす目的で全年齢層がインフルエンザの「思いやりワクチン」をしてもいいはずです。また、もともと傾いていた国家財政にとどめを刺してまで無料で打ちまくったワクチンの費用のごく一部を使うだけでも全乳幼児に無料でインフルエンザの予防接種を届けることができるずなのにそうはならず、接種できない子どもが相当にいる状況が放置されています。「子ども家庭庁」などというものができても、結局は子どもや若者を大切にしない国、もっと正確に言えば、子どもや若者を大切にするためには切り捨てなければいけないことが出てくることの責任を誰も負わない(そのために子どもや若者がいつも後回しになる)国なのだと思います。

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