すばらしい新世界

Le Castella, カラブリア州

花小金井駅北口徒歩1分、小平市でアレルギーから発達障害まで、医療法人すこやか武蔵野 花小金井駅前こどもクリニックです。

「すばらしい新世界」(オルダス・ハクスリー著)という小説を読みました。個々の人間の自由が抑圧され、社会による管理・監視が進んだ近未来を描いた作品(「ディストピア小説」)で、「われら」(エフゲニー・ザミャーチン著)、「1984年」(ジョージ・オーウェル著)などと同様に強い衝撃を受けました。

この小説に描かれた「すばらしい新世界」で特に印象深かったことが2つあります。幸福の総和が社会全体で最大になるためには個々の人間の自由が抑圧されることは仕方がないと(支配者ではなく)社会の構成員自らが考えていること、そして、医学や医師というものがそのような管理に積極的な役割を果たしていること。このような世界はディストピアではなくユートピアではないかという見方もありえ、難しいですが、個々の人間の自由は尊いものだと私は考えますので、やはりディストピアだと思います。

このような状況は現代の日本にある程度当てはまるのではないかという気がします。「熱を出すと鼻に綿棒を入れられる」「授業中に立ち歩くと薬を処方される」など子どもを取り巻く状況もそうで、私も「管理」の一端を担っている現実があります。職業人として医学的な最善を目指しつつも、少しでも広い視野から最善というものを捉え、そして何より個々の子どもの自由を尊重するよう心掛けていきたいと思います。

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