痛みを伴う処置

パドヴァ(Padova), ヴェネト州

嫌なことや望まないことを他人から強いられる機会が極力少ない生活を送ることは、大人にとっても子どもにとっても心の健康を保つうえでとても大切だと最近ますます考えるようになりました。小児科の医療というものが、多くの場合は本人(子ども)が望むことないままに受診をし、喉や耳を診察されたり、(発達相談では)自分ができないことや苦手なことについて大人が話しをするのを聞いたり、注射など痛みを伴う処置をされたりする機会になってしまうという構造にあることを自覚して、少しずつ診療の在り方を見直したいと思っています。

その一環として、痛みを伴う処置をする際に、子どもの意思をこれまで以上に尊重していきたいと考えました。これまでであれば行なっていたかもしれない以下の処置は、当面行なわないことにします。

①基礎疾患や熱性けいれん既往の無い小学生へのインフルエンザ予防接種で、必要性を十分に説明しても本人が注射を拒否しているとき。なお乳幼児については必要性を理解することがまだ難しく、インフルエンザ脳症のリスクも相対的に高いため、家族の同意により接種を行ないます。

②アレルギー性鼻炎が疑われる小学生で、血液検査でスギ花粉やダニへのアレルギーの有無がわかれば舌下免疫療法により鼻炎症状が大幅に改善する可能性はあるものの、本人が採血を拒否しているとき。なお重大な疾患が疑われる際にどうしても必要な血液検査は本人が拒否していても家族の同意により行なうことがあります。

③発熱や風邪症状があっての受診で、本人の全身状態が良好であるにも関わらず園・学校、家族の職場の都合で新型コロナウイルス抗原検査の希望があるとき。子どもに関わるところ(医療、福祉、教育)は3年前までずっと「with感染症」でやってきていたことを思い出しましょう。全身状態が良好ではないときに発熱の原因を探す一環として新型コロナウイルス抗原検査をすることはありますし、溶連菌やインフルエンザなど治療方針に大きく影響する抗原検査は行なっていく方針です。

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