犬の散歩

チンクエテッレ(Cinque Terre), リグーリア州

犬を飼い始めた頃、躾(しつけ)に関して書かれた文を読んでいたら「必ず飼い主の左側を歩かせる」「飼い主より先を歩かせない」と書かれていました。主従関係をはっきりさせるほうが犬は行動しやすくなる、犬もそれを好む、という考えのようでした。

実際にはこれと正反対の散歩をするようになりました。犬が自発的に行き先を決め、横に並びながらも犬のほうが50cmほど先を歩きます。犬がこちらを確認するように見てきたら、こちらも目を見て「いるよ」と答えます。リード(犬を引く紐)は少し弛ませておきますが、周囲の人や道路に落ちている物には絶えず目を光らせて、いざというときはすぐに止められるようにします。犬が小走りになったとき、可能な範囲であればこちらも小走りをして、犬がリードで人を引っ張るという状態を極力作らないようにします。追いつけなかったりで引っ張られてしまいそうなときは早めに「ゆっくり」と声をかけ、ゆっくりにしてくれたら褒めます。リードを引くのは本当に止まって欲しいときときだけで、そのときは(結局行かせてしまうことをせず)必ず止めます。普段力を加えていないので、ごくわずかにリードに力を加えただけで理解し、従ってくれます。

犬種や個体による差もあって一般化できないかもしれませんが、犬との関係をこのように築き上げてきたことに満足しています。「犬とはこういうものだ」という考えをそのまま信じるのではなく、目の前の犬の性質を考えながら自分たちにあった関係を築いたという点で、また、ただ従わせるだけでなく犬の自主性を尊重できる関係を築けたという点で。

人間の子育てにも似たところがあり、従わせる(思い通りに動かす)のではなく、その子どもの性質を考え、自主性を尊重する関係を築けたら私は理想的だと思います。

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