小児の中耳炎に関する誤解

オトラント(Otranto), プーリア州

小児科外来で抗生物質を処方する頻度が最も高い病気は急性中耳炎と言われています。発熱・鼻水・咳などがあり耳の診察が必要になる子どもは小児科外来に1日20-30人はいて、1人につき左右(2つ)の耳を診察しますので、1週間に100人(=200耳)、1年間に5,000人(=10,000耳)は診察していることになります。そのため小児科外来を続けていると子どもの耳の診察には精通していくものなのですが、医療関係者の間に幾つか誤解があるように感じます。

「耳を痛がったり気にして触ったりする様子が無ければ中耳炎は否定的である」→2歳未満の子どもは結構な確率・頻度で中耳炎になりますが、この年齢では派手な中耳炎があっても耳を痛がったり気にして触ったりすることはほぼありません。そのため、この年齢で発熱・鼻水・咳いずれかがある場合(特に、それらが長引く場合)には必ず耳の診察をする必要があります。

「血液検査で細菌感染症を疑う数値が出なければ抗生物質が有効な感染症(急性中耳炎含む)は否定的である」→中耳は骨に囲まれた血流に乏しい組織であるため中耳が膿でぱんぱんになっていても血液検査では大きな異常を認めないことが少なくありません。血液検査は全身性の、あるいは実質臓器の細菌感染症(敗血症、髄膜炎、尿路感染症、肺炎など)を診断するために重要な検査です。

耳の診察は特に慣れないうちは嫌がるお子さんもいるのですが、年齢の低いお子さんでは胸の音を聴診するのと同じくらい重要なことなので、ご協力お願いします(できるだけ手早く終えられるよう頑張ります)。

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