桜の散る頃
花小金井駅北口徒歩1分、小平市でアレルギーから発達障害まで、医療法人すこやか武蔵野 花小金井駅前こどもクリニックです。この時期の小金井公園は桜を見に来る人で混雑し、子どもや犬を連れて自由に散歩することも難しいのですが、ようやく桜が散り始めました。
「彼ははじめて四方を見廻しました。頭上に花がありました。その下にひっそりと無限の虚空がみちていました。ひそひそと花が降ります。それだけのことです。外には何の秘密もないのでした。」(桜の森の満開の下(坂口安吾))
小さい子どもをお花見に連れて行ったのに子どもは花びらの浮かんだ水溜まりをかき混ぜることに夢中になっている、というようなことがあります。身長が低いと見える世界が違うというだけでなく、どのように周囲の世界を認識し、どのようなものに興味を持つかが大人とは違うのだと思います。そんな年齢の子どもに親として満開の桜を指して「見てごらん、きれいだね」と声をかけたことがありましたが、もう少し年齢が上がって子どもが自分自身で気付いて美しいと感じ(もしかしたらその子どもはそれを美しいと感じることがずっと無いかもしれませんが)、自然と言葉が湧いてくるのを待っていれば良かった、と今は思います。
子どもが0-3歳くらいであれば親が一緒に水溜まりをかき混ぜて遊んでくれるのが嬉しいでしょう。4-7歳くらいの子どもの前では「わぁー、きれいだな」と親自身が楽しんでいれば十分で、そのときはチラッと見ただけで自分の遊びを続けるにしても、親のうっとりと嬉しそうな姿を心の片隅に記憶するかもしれません。8歳くらいになって子どもが「他の人が美しいと感じているものに自分も関心を寄せる」「家族・民族・文化に伝わる“美しさの型”に親しむ」ことができるようになったとき「見てごらん、きれいだね」を言うこともあるかもしれませんが、その子どもが自然に感じる「いいな」「きれいだな」をあくまで大切にしたいと思います。