将来の夢

ヴェネツィア(Venezia), ヴェネト州

動物の図鑑を見たり動物の絵を描いたり、動物園に連れて行ってもらったりするのが好きな子どもでした。将来の夢は「動物園の飼育係」でした。小学生のとき”名探偵シャーロック・ホームズ”を経て”怪盗紳士ルパン”シリーズを夢中になって読みました。卒業文集に将来なりたい職業として「怪盗」と書きました。

ゴッホのような情熱的な絵を描く「画家」になりたいといつからか思うようになり、高校で美術部に入りました。放課後になると石膏像をデッサンし、油絵を描きました。しかし、特に美術の道に進むでもない姉が自分よりずっと素晴らしい絵を感覚的に描けてしまう(自分にはその感覚が欠けている)ことにあるとき気付き、その道を諦めました。

何かを表現する仕事をしていくことは自分の中で自然、当然のことでした。ポケットにその詩集を入れて持ち歩くほど好きだった宮沢賢治のように、自然の中で「詩人」としてありながら人の役に立つ生き方がしたいと思い、「医師」として資格を得ればそれが可能かもしれないと考えたように記憶しています。“小学生のときにお母さんを病気で亡くしたからお医者さんになりたいんだね”と事あるごとに他人から言われることは好きではありませんでした。

子どもが語る「将来の夢」は一貫しないことも多く、ときに荒唐無稽かもしれませんが、“その子ども自身にとって、その時点で、最上の価値があるもの“を「将来の夢」として語るのだと思います。否定したり小馬鹿にしたりせず、大人はそれを大切に扱わなければいけないと思います。

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