小児の副鼻腔炎に関する誤解

ターラント(Taranto), プーリア州

病院に勤務して子どもの神経疾患を中心に診療していた頃、CTやMRIなどで撮られた頭の断層写真を判読する機会が多くありました。脳だけでなく鼻の奥(副鼻腔)や耳の奥(中耳腔)も写っているのですが、特に乳幼児ではかなり高い確率で副鼻腔や中耳腔に(本来あるべき空気ではなく)液体(鼻水や痰)が貯まっていました。

何か症状が無いか尋ねてみると「保育園に行き始めると咳や鼻水が長引いたり繰り返したりは当たり前と言われてきた」あるいは「鼻水が一年中出ていて耳鼻科でもらったアレルギー性鼻炎の薬をずっと続けている」あるいは「1カ月以上前から咳が続いていて小児科で咳喘息と言われて薬をずっと続けている」などの答えが返ってきます。そういったお子さん達に副鼻腔炎や中耳炎の治療(抗生物質の内服)を行なうと「嘘みたいに咳も鼻水もなくなりました」と言われること多かったです。

「3歳未満は副鼻腔が小さいので副鼻腔炎にはならない」「鼻腔を覗いて膿性の鼻汁が無い、あるいは喉を覗いて後鼻漏が無いのであれば副鼻腔炎は否定される」「鼻水が透明ならアレルギー性鼻炎なので副鼻腔炎は無い」などはすべて誤解だと思います。液体が貯まっているからといってすべて副鼻腔炎ではありませんが、症状の経過を丁寧に聴き取りながら、子どもが鼻水や咳、鼻閉に悩まされずすっきり過ごせるよう適切な治療をしていきたいと思います。

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